ポケットミニオン-ポケミニ-

???

「ジェイナ。ジェイナ!起きなさい!今日はアントニダス博士のところに行く日でしょ?」

 

ジェイナ

「うーん…母さん。もうちょっとだけ寝かせて。それにまだ私はここにいたいの」

 

マダム・ゴヤ

「ダメよ。あなたが野生のムロゾンドに引きずり回されてるのを助けてから3年ちょっと。もう心も体も十分に回復してるし、そもそも12歳の誕生日になったら出て行く約束だったわよね?」

 

ジェイナ

「でも…私はこれから何を頼りに生きて行けばいいの。まだ働くことなんて出来ないし、一人は無理よ」

 

マダム・ゴヤ

「だからアントニダス博士のところに行くの。さぁそのキュートな姿をベッドから出て見せてちょうだい」

 

ジェイナ

「わかったわ。今までありがとう、母さん…」

 

ジェイナは旅立ちの準備を済ませると、マダム・ゴヤが作ってくれた最後の朝食を平らげた。

 

それはパンの上にゴーヤを乗せてマヨネーズをかけトーストしたもので、マダム・ゴヤの得意料理だった。

 

マダム・ゴヤ

「誕生日だからファンネルケーキも焼いたけど食べる?」

 

ジェイナ

「ごめんなさい。それを食べたら私、行けなくなっちゃうから」

 

二人は長いハグを交わすとジェイナはマダム・ゴヤ邸を後にした。マダム・ゴヤの目からは涙が止めどなく溢れていた。

 

アントニダス博士の研究所はこのマサラタウンの中心部に位置し、マダム・ゴヤ邸のすぐとなりだがジェイナには縁のない場所であった。

 

ピンポーン

 

ジェイナ

「すいませーん。アントニダス博士に用があってきたんですけど」

 

助手

「あーはいはい、ジェイナちゃんね、話は聞いてるよ。でもごめんね、今頃アントニダス博士はマルハンのトキワ店で新台狙いで並んでると思うんだ」

 

ジェイナ

「そうですか。いつ頃戻ってきますか?」

 

助手

「それが僕たちにもわからないんだよ。新台が取れなかったらすぐ戻ってくるんだけど」

 

ジェイナ

「取れたら?」

 

助手

「取れたら最悪夜かもしれない」

 

ジェイナ

「そんな…」

 

助手

「まぁとりあえず中に入りなよ。話は聞いてるからジェイナちゃんの今後について説明するよ」

 

ジェイナ

「ありがとうございます」

 

ジェイナは研究所の中に入り、促されるまま席に着いた。

 

助手

「君はポケミニのことを知っているかな」

 

ジェイナ

「私を襲ったドラゴンのことですよね」

 

助手

「そう。ムロゾンドもポケミニだね。でもムロゾンドだけじゃない。今各地で凶暴化し人々の生活を脅かしている存在のことを僕らはポケミニと定義してるんだ」

 

ジェイナ

「そうなんですね。それが私と何か関係あるんですか?」

 

助手

「実は…君には、ジェイナちゃんにはそのポケミニを狩る存在、ポケミニハンターになって欲しいんだ」

 

ジェイナ

「私が…?私にはポケミニを狩れるような力はないです。そんなの無理に決まってます」

 

助手

「戦うのは君じゃない。目には目を、ポケミニにはポケミニを。ジェイナちゃんにはポケミニを育て、戦わせて欲しいんだ」

 

ジェイナ

「そんなの無理です。何で私なんですか。私じゃなくたっていいじゃないですか」

 

助手

「ポケミニは魔力に惹かれる存在。ジェイナちゃんはフロストボルトが使えると聞いてるけど、それはもうポケミニをコントロールするには十分過ぎる資質なんだ」

 

ジェイナ

「でも、私はお金もないし住むとこもなくて…ポケミニハンターなんてやるような余裕はありません」

 

助手

「それについては心配いらないよ。ポケミニハンターは国から最大限の援助を受けることが出来る。このポケミニ図鑑のハンター資格証のページを提示すれば各地でいくらでも好きなものを食べられるしどこにでも泊まることが出来るんだ」

 

ジェイナ

「それは良い話だとは思いますけど…」

 

そのとき、もの凄い剣幕で女の助手が駆け寄ってきた。

 

女助手

「大変ですっ!アントニダス博士が!」

 

助手

「どうしたの?」

 

女助手

「アントニダス博士が…新台は取れたけど財布を忘れたらしくて、あと30分以内に遊戯を始めないと空き台として整理されてしまうみたいなんです!」

 

助手

「それは大変だ!ジェイナちゃん、トキワシティまでの道にはポケミニがうじゃうじゃいて魔力を持たない僕たちはそこを通ることが出来ない。君が、君だけがアントニダス博士に財布を届けることが出来るんだ」

 

ジェイナ

「だから何なんですか」

 

助手

「今からそこにあるポケミニが入ったミニオンボール3つの中から好きなポケミニをパートナーとして連れて行って、そして時間内にアントニダス博士に財布を届けてくれ」

 

ジェイナ

「そんな、見たことも聞いたこともないのに出来るわけないよ!」

 

女助手

「ジェイナちゃん、新台が新台でいられるのは新台の期間だけ。それを過ぎたらもう新台ではなくなってしまうの。マダム・ゴヤの娘として3年間過ごし、今その関係が終わってしまったあなたにならこの意味がわかるわよね」

 

ジェイナ

「!!!」

 

女助手

「ジェイナちゃん、あなたがやるのよ」

 

ジェイナ

「やります、私が届けます!」

 

ジェイナはポケミニボールが並んだテーブルの前に立った。

 

つづく?